幼なじみは俺様王子。




こんな時、「そんなんじゃない」って言い返せたらどんなにいいだろう……。


でも、悔しいけど、女の子の言ってることは正しいと自分でわかってるから言えない。


“釣り合わない”


そんなことわかってる。


わかってるけど……


認めたくなかった。


「いい!? 王子様に似合うのは、童話に出てくるような可愛いお姫様なのよっ!」


その時、ふと柚月サンが浮かんだ。


あたしが柚月サンだったら、みんなにこんなこと言われないんだろうな……。


“お似合いだ”って認めてもらえるのに……。


そう思うと、なんだかとても胸が苦しくなった。


「アンタみたいに、脇役にもなれない凡人には不釣り合い……っ!」


あたしを見下ろして冷たく言い放つ女の子の言葉が止まった。


ううん、女の子の言葉だけじゃない。


周りの雰囲気までもが凍りついた。


あたしは恐る恐る顔を上げる。



「……お前ら、なにやってんだよ?」


そこには女の子の手首を掴んで、周りを睨む“彼”の姿があった。





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