幼なじみは俺様王子。




本当、最近の男の子はよく分からない。


何で泣いていると、“そそる”になるわけ?


泣いていたら慰めるってのが男の子ってもんでしょ。


それに、昔の楓クンは、あたしが泣いてるといつも慰めてくれたよね……。


『僕、女の子に泣かれるのダメなんだ』


そう言ってた楓クンは、どこへ……。


力なくため息をついたあたしを見て、楓クンはクスッと笑った。


「元気ないね? どうかした?」


アンタのせいでしょうがっ!


っていうか、その笑み、わざとそういうこと言ってるとしか思えないんですけど。


反論しようと思って開いた口は無情にも塞がれた。



――楓クンの口づけで。


後頭部を押さえられ呼吸も出来ないまま、楓クンはキスを続ける。


……でも不思議と嫌じゃなかったんだ。


「ん………っ」


唇が離された時にはあたしはすでに甘いキスの虜になっていた。


不覚にも、もっとしてほしい、そう願ってしまったんだ。



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