幼なじみは俺様王子。
「……穂香」
少し掠れた声で、あたしの名前を呼ぶ。
それが余計にあたしを切なくさせた。
「好きだよ……」
そう言って、彼がした口づけは今までで一番悲しいキスでした。
こんな不意打ち…ズルいよ。
最後のキスは甘いチョコレート味のキスなんかじゃなく、
苦いビターチョコ味に限りなく近い。
悲しくて、苦しくて……
ただただ、苦いキスだった。
唇を離すと、楓は震えるあたしの頬を優しく撫でた。
例え、恋愛下手なあたしにだってわかる。
もうこれが最後なんだってことくらい……