幼なじみは俺様王子。




「……穂香」


少し掠れた声で、あたしの名前を呼ぶ。


それが余計にあたしを切なくさせた。


「好きだよ……」


そう言って、彼がした口づけは今までで一番悲しいキスでした。


こんな不意打ち…ズルいよ。


最後のキスは甘いチョコレート味のキスなんかじゃなく、


苦いビターチョコ味に限りなく近い。


悲しくて、苦しくて……


ただただ、苦いキスだった。


唇を離すと、楓は震えるあたしの頬を優しく撫でた。


例え、恋愛下手なあたしにだってわかる。


もうこれが最後なんだってことくらい……





< 233 / 267 >

この作品をシェア

pagetop