幼なじみは俺様王子。
あたし、どうしちゃったんだろう……。
「穂香のファーストキス、奪っちゃった」
悪戯に微笑む楓クンの顔を見て、ドキッと胸が音をたてる。
でも、もう怒る気力なんてなくなっていた。
もしかして楓クン…ファーストキスじゃないのかな。
そりゃ、当たり前だよね。
今時、高2にもなってキスくらいしてないのおかしいもんね。
キスも慣れてる感じだったし、楓クンみたいにカッコいい男の子はキスくらい……。
“キスくらい”
自分で言ったのになぜか悲しい気持ちになった。
「………楓クンは、あたしがファーストキスなわけないよね」
気づいたらそんな言葉を発していて、自分でも驚いた。
すると楓クンは一瞬、驚いたような顔をしたけれど、すぐいつもの意地悪な顔に戻って言った。