幼なじみは俺様王子。
◆贈り物の秘密
結局、家には帰れなくて、あーちゃんの家に押しかけた。
だけど、あーちゃんの家には先客がいて。
部屋に来るなり、涙を浮かべるあたしを見て、瀬川クンは悟ったのか、
「じゃ、俺帰るね」
あーちゃんの頭をポンと叩いて、彼は部屋から出て行った。
ふたりに悪いことしちゃったな……
あたしの事情で振り回してしまって、深く反省する。
小さなテーブルに、あーちゃんは紅茶の入ったマグカップを2つ置いた。
「……どうなった?」
あたしの顔を覗き込むあーちゃんの顔は、今まで以上に真剣だった。
あーちゃんは、あたしが楓ファンの女の子達に呼び出されてたことを知ってる。
だけど、あーちゃんは“一緒にはついていかない”って言ったんだ。
いつものあーちゃんならきっと“あたしもついて行く”って言ってくれるのに。
別について来てくれるのを期待していたわけじゃない。
だけど、あーちゃんがそんなこと言うなんて意外だった。
あたしは、あーちゃんに全てを話した。
女の子達に言われたこと。
爽に助けられたこと。
……楓に別れを告げられたこと。