幼なじみは俺様王子。
爽の部屋であったこと。
全て話し終えると、あーちゃんは真剣な顔であたしを見つめて、口を開いた。
「穂香はそれでいいの!?」
あーちゃんのトゲのある言葉があたしの胸に突き刺さる。
「穂香は王子が好きなのよね!? なのにどうして王子にその気持ち伝えないの!?」
あーちゃんの勢いは止まることを知らない。
もう耳を塞いでしまいたかった。
そんなことあたしだってわかってる。
だけど……出来なかった。
今となっては、すごく後悔してるんだ。
あたしは…自分の気持ちを伝えることも出来ない弱虫だから……。
「穂香…スカートのポケットの中、見て?」
あーちゃんの口調が少し穏やかになって、俯いているあたしの顔を覗き込んだ。
ポケットの中……?
不思議に思いつつも、あーちゃんに言われた通り、ポケットの中に手を入れた。
――チャリッ
金属音がした。
ポケットから取り出したそれはキラキラと輝いている。
「こ、れ……」
涙が出そうになった。
それを両手でギュッと握り締めて、ゆっくりと顔を上げる。