幼なじみは俺様王子。
《step☆2》

◆秘密のお誘い





早いもので、あれから一週間が経った。


まだ初夏だというのに、この蒸した暑さにイライラする。


そして今は、あーちゃんとランチタイム。


「へぇ、旅行ねぇ……」


「そ、そうなの」


「でも王子から誘ってくるなんて、絶対何かありそうね」


探偵みたいにうーん、と腕組みをしながら考えるあーちゃんを見つめた。


そう、時は昨日に遡る。


――――――……………



「……へっ? りょ、旅行?」


「あぁ。実は母親が久しぶりにお前の顔が見たいって言うもんだから」


……そうだ。


楓クンのお母さんは旅館で女将さんやってるんだよね。


あたしも久しぶりに会いたいな……。


「で、でもどうやって行くの? それにお金もかかるし……」

そう、問題はそこだ。


そもそも、あたしも楓クンも車の運転免許を持ってない。


それに、泊まるってことは宿泊費だってかかるわけだし。


それは無理なんじゃ……




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