幼なじみは俺様王子。




「その辺は大丈夫だよ。電車とバス乗り継げば行ける距離だし、金は母親が何とかしてくれると思うし?」


何とかって……

そんなの悪いに決まってる。


「俺らが再会した記念つーことで?」


……き、記念?

そんなの必要ないと思うけど……。


「記念も何もそんなの関係な……」


あたしの言葉を遮って、楓クンは言った。


「ずべこべ言うな。あんまり言ってっと黙らせるぞ?」


その“黙らせる”に大体の予想はついている。


だからあたしはそれ以上言わないことにした。


「それでよし」


そう言うと楓クンは満足そうに微笑んだ。


「んじゃ、7月11日の火曜日に出発な。ちゃんと用意しておけよ?」


すると、楓クンは「あっ」と声を上げて


「……そっちの準備もな?」

と、耳元で囁いた。


そ、それってつまり……


エッチする、ってことだよね。


これは自意識過剰なんかじゃない。


確かに楓クンは、ニヤリと笑った。


それが、合図。




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