幼なじみは俺様王子。
「よ、洋服を買いにね」
「洋服って、もしかして旅行の?」
「そ、そうなの!」
あたしが何度も首を振って頷くと、それと同時に楓クンはニヤリと笑った。
「……もしかして俺のため?」
「ふえっ!?」
本当は、楓クンのためだけどそんなこと絶対言えない。
「ちっ、違……」
「違うんだ?」
ふーんと、興味なさそうに呟いてまたテレビに目を向ける。
ヤ、ヤバい……。
楓クン、怒ってる。
「か、楓クン?」
「なんだよ」
楓クンは不機嫌そうに振り向いた。
「な、なんで怒ってるの……?」
思い切って聞いてみよう。
すると、楓クンは意地悪に笑ってあたしに顔を近ずけた。
「なんで怒ってるかって?」
「う、うん……」
「それは、言えねぇ」
「へぇっ!?」
な、なにそれ。
そんなの、アリ?
「……らしくねぇし」
「は、はい?」
“らしくない”ってどうゆう意味?
……でもほのかに顔が赤くなっていたのは気のせい?