幼なじみは俺様王子。
◆ドキドキ旅行
――旅行当日。
「……ヤ、ヤバい!楓クンに怒られるっ!」
30分も寝坊してしまったあたしは、勢いよくベッドから飛び起きてパジャマを床に脱ぎ捨てた。
「おはよぉ……」
リビングに行くと、楓クンはすでに起きていた。
「遅かったな?」
楓クンも眠いのか目が少しトロンとしている気がする。
そりゃそうだよね。
あたしが寝たのは、日付が変わる頃。
起きたのが、6時。
6時間しか寝てないのだから眠いのも当たり前。
それに楓クンはもっと寝てないだろうし。
「ご、ごめんね。準備に時間かかっちゃって……」
あれから、昨日買ったワンピースに着替えて、髪を少し巻いた。
「……………」
楓クンはあたしを見つめ黙ったまま。
や、やっぱり怒ってるのかな……。
「……か、楓クン?」
あたしが声をかけると楓クンはハッとして、動揺した素振りを見せた。
「な、何でもない。じゃ、行くか」
不思議に思いながらも、「うん!」と大きく頷いて、あたし達は家を出た。