幼なじみは俺様王子。




「そ、そんなことあるわけないでしょ!」


「そうか? お前ならありえそうだけど」


アナタは、なんて失礼なことを言うのよっ!


もうっ。あたしだって一応、レディなんだからねっ!


頬を膨らませて拗ねていると、楓クンはあたしの頬に手をあてて囁いた。


「……嘘。本当は知らねぇ男に連れてかれたんじゃねぇかって心配してた」


そう囁くその表情は、本当に嘘じゃないんだってことを物語っていた。


どこか切なく、悲しげ表情……。


楓クン……今日変だよ。


いつもはこんなこと絶対言わないのに。


いつもじゃこんな表情……しないのに。


「楓クン……」


上目遣いで楓クンを見ると、楓クンは優しく微笑んであたしの頭をポンポンと叩いた。


「……さてと。観光にでも行くか」


「か、観光?」


「あぁ。この辺は近くに有名な観光スポットが沢山あんだよ。」


楓クン、いつの間にそんなこと調べたんだろう……。


もしかして、今日のために?


……そうやって都合よく受け入れてしまうあたしがいて。





< 42 / 267 >

この作品をシェア

pagetop