幼なじみは俺様王子。
「そ、そんなことあるわけないでしょ!」
「そうか? お前ならありえそうだけど」
アナタは、なんて失礼なことを言うのよっ!
もうっ。あたしだって一応、レディなんだからねっ!
頬を膨らませて拗ねていると、楓クンはあたしの頬に手をあてて囁いた。
「……嘘。本当は知らねぇ男に連れてかれたんじゃねぇかって心配してた」
そう囁くその表情は、本当に嘘じゃないんだってことを物語っていた。
どこか切なく、悲しげ表情……。
楓クン……今日変だよ。
いつもはこんなこと絶対言わないのに。
いつもじゃこんな表情……しないのに。
「楓クン……」
上目遣いで楓クンを見ると、楓クンは優しく微笑んであたしの頭をポンポンと叩いた。
「……さてと。観光にでも行くか」
「か、観光?」
「あぁ。この辺は近くに有名な観光スポットが沢山あんだよ。」
楓クン、いつの間にそんなこと調べたんだろう……。
もしかして、今日のために?
……そうやって都合よく受け入れてしまうあたしがいて。