幼なじみは俺様王子。




「……お前、あんま食うと太んぞ?」


「ふ、ふっ……」


ふ、太るって……


なにもそんな言い方しなくたっていいじゃないっ!


確かにあたしはスタイルが良いわけじゃないけどさ。


「太りたくなかったら、我慢しろよ?」


楓クンは馬鹿にしたようにフッと笑って、あたしに背を向けた。


何よぉおおおお!

本当に失礼なヤツっ!


自分は電車の中でおにぎり、食べていたクセに。


ドンドンとわざと足音を大きくして楓クンの後ろを歩いていると、いきなり楓クンの歩く足が止まった。


すると楓クンは後ろを振り返って、あたしの頬に冷たいモノを押し付けてきた。


「ほら。ご褒美」


そこにあったのは、あたしの大好きなオレンジジュース。


楓クン……


「よく我慢できました」


えっ、あたし我慢なんてしてないのに……。


オレンジジュースを持ってニコッと笑う楓クンに胸が甘く疼いた。


「あ、ありがと……」


楓クンは意地悪だけど、

本当は優しいヒト。





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