幼なじみは俺様王子。
オレンジジュースにストローをさしながら考えた。
楓クン、どうしてここに来たんだろう……。
「楓クン、どうしてここに来たの?」
あたしが尋ねると、楓クンは唇に人差し指をあてて
「……内緒」
と囁き、あたしにウィンクした。
かぁああああ。
顔がどんどん赤くなるのが分かる。
普通の人がやったらおかしい行動も楓クンにかかると、どこかおとぎの国の世界にいるような王子様に見えるのだ。
「穂香」
楓クンに見惚れていると不意に楓クンがあたしの名前を呼んだ。
「な、なに?」
すると楓クンは天使のような微笑みを浮かべて、言った。
「この近くに美味いって評判の店があんだよ。そこでメシ食おうぜ?」
「……う、うん! さすがにもう我慢の限界だよぉ」
あたし達はその場所に向かった。
「おかえりなさい。観光は楽しかった?」
一通り観光が終わり、旅館に帰ってきたあたし達。
あたしの手には、お土産の袋がいっぱいぶら下がっている。
「あぁ。まあな」
楓クンは無愛想にそう言うとあたしに視線を向けた。