幼なじみは俺様王子。
◆イチゴ風呂の中で
「やっぱり気持ちいぃ~」
お昼までミルク風呂だったお湯は、すっかりピンク色のイチゴ風呂に変わっていた。
このお湯、すごいい香り。
本当にイチゴミルクのお風呂に入ってるみたい……。
……飲めるかな?
あまりにもいい匂いがするから確かめたくなって、あたしは手についたお湯を舐めてみた。
――ゴクンッ
……うげぇ。
しょっぱい。
やっぱりイチゴミルク味じゃないんだぁ……。
――まるで彼みたい。
いつも楓クンは、甘い香りであたしを誘惑するんだ。
あたしはふと楓クンのことを考えていた。
……最近、あたしに芽生えた気持ち。
楓クンのことをもっと知りたい。
どんな些細なことでもいい。
楓クンを知りたいと思った。
この気持ちって、やっぱり……
露天風呂から見える夜空の絶景を眺めていると
――ガチャッ
誰かが露天風呂へ入ってきた。
ふと振り返って、あたしは言葉を失った。