幼なじみは俺様王子。
ひとりでニヤケているあたしを見て、あーちゃんが一言。
「……アンタ、気持ち悪いよ」
と、冷ややかな目で言った。
き、気持ち悪いって……
それはいくら何でもひどすぎますよ亜沙子さん……。
まぁ、確かにひとりでニヤケていたら気持ち悪いか。
だけどあんな夢みるなんて、絶対なんかあるよ……
そんなことを考えていたら近くで話す女の子達の声が聞こえた。
「ねぇ知ってる? 噂の転校生」
「10年ぶりにこっちに戻ってくるらしいよ」
10年ぶり……
ま、まさかね。
「それも、超イケメンなんだって!」
「マジでっ!?」
「超楽しみだなぁ」
転校生かぁ……
それってもしかして楓クンだったりして。
……いや、楓クンなわけないか。
高校生の楓クンかぁ…
きっとカッコいいんだろうな……。
想像しただけで自然と頬が緩む。
心のどこかであたしは、期待に胸を膨らませていた。