幼なじみは俺様王子。
◆プリンスからの贈り物
「楓、クンっ……」
薄暗い部屋で、
あたし達は折り重なって何度もキスを繰り返す。
次第にキスは激しさを増して、呼吸も出来なくなるくらい。
時計は12時を回っていた。
もう、こんな時間。
「穂香」
熱のこもった声であたしの名前を呼ぶ。
「お前が欲しい」
楓クンはあたしが待ち焦がれていた言葉をくれた。
「……楓クン…っ」
「お前が、好きだ……」
やっとくれた“好き”。
嬉しすぎて、あたしは何も言うことが出来なかった。
「穂香……誕生日おめでとう」
「………えっ?」
誕生日って、どういうこと?
すると楓クンは眉を下げて、驚くほど優しく微笑んだ。
「今日は穂香の誕生日だろ?」
7月12日。
……今日はあたしの誕生日だったんだ。
自分のことなのにすっかり忘れてた。
「楓クン……覚えててくれたんだ」
「好きな女の誕生日、忘れるヤツいるか」