幼なじみは俺様王子。
はぁああああ。
あーちゃんと比べたら、あたしなんて月とスッポンだよぉ……。
「穂香、可愛い~」
それでもあーちゃんは「桜の花が穂香らしいね」って笑ってくれた。
「さっ、行こ!湊斗と王子はもう向こうで待ってるし」
「そうだねっ!」
あたし達は花火大会の開催される神社へと向かった。
「……うっわ~。すごい人」
あたし達が神社についた頃には、すでに薄暗くなっていた。
しかもすごい人だかり。
「これじゃ、楓達見つけられないかも」…」
この人だかりで見つけるのはさすがに無謀過ぎる。
するとあーちゃんは可愛らしい巾着から携帯を取り出した。
「湊斗に電話かけてみるね?」
携帯を耳に当てて、瀬川クンの応答を待つあーちゃん。
「あ、もしもし湊斗?」
瀬川クンと話すあーちゃんはどこか“乙女”だった。
そんな新鮮なあーちゃんを微笑ましく思う。
「そう、分かった。じゃそっちに向かうね!」
ばいばいと電話を切ったあーちゃんはあたしに視線をずらした。