幼なじみは俺様王子。
「久しぶりだな? 穂香」
教室中がどよめいた。
普段、無表情のあーちゃんまでもが、目を見開いて驚いている。
いや、でも一番驚いているのは、あたし自身。
「だ、だだ誰!?」
あたし、こんなカッコいい人知らないよ。
てか、何であたしの名前知ってるのよ!?
「婚約者の名前も覚えてないのか?」
こ、ここ婚約者!?
あたし婚約した覚えないんですけどっ!
「川島さんが王子と婚約!?」
「ありえなぁぁい」
「王子、悪趣味よ!」
ブーブーと女の子達からのブーイングが飛んだ。
(°□°;)∑ガーン
あ、悪趣味って…
確かにあたしは可愛いわけでもないし、スタイルがいいわけでもないけどさ……。
しかもいつの間にか“王子”だなんて呼んでるし。
すると相沢はキッと女の子達を睨んだ。
「黙れよ」
――ドキッ
そのたった一言で、あたしの胸が甘く疼いた。