幼なじみは俺様王子。




楓は、ズルい。


いつだってそう、あたしをドキドキさせる。


――そんなこといわれたら、あたし舞い上がっちゃうよ……。


楓の甚平姿はあたしをドキドキさせた。


あたしが髪を整えてる間に、家から出て行ったから分からなかった。


黒のストライプの甚平。


“カッコいいよ”

そう言いたかったけど、なぜか言えなかった。


だけど学校とは違う、楓の甚平姿をみんなに見られてると思うと、なんだかモヤモヤした。


……これは多分、ヤキモチ。


「4人揃ったことだし、食うか」


瀬川クンの言葉を合図にあたし達は準備を始めた。



レジャーシートの席は、言うまでもなく瀬川クンの隣はあーちゃんが確保。


……と、なると。

あたしは自然と楓の隣に座ることになる。


……でも、堂々と座れる?


普通なら何気に座れるんだろうけど、根性なしのあたしは言うまでもなく座れない。


そんな自分が時々嫌になる。





< 81 / 267 >

この作品をシェア

pagetop