幼なじみは俺様王子。
楓は、ズルい。
いつだってそう、あたしをドキドキさせる。
――そんなこといわれたら、あたし舞い上がっちゃうよ……。
楓の甚平姿はあたしをドキドキさせた。
あたしが髪を整えてる間に、家から出て行ったから分からなかった。
黒のストライプの甚平。
“カッコいいよ”
そう言いたかったけど、なぜか言えなかった。
だけど学校とは違う、楓の甚平姿をみんなに見られてると思うと、なんだかモヤモヤした。
……これは多分、ヤキモチ。
「4人揃ったことだし、食うか」
瀬川クンの言葉を合図にあたし達は準備を始めた。
レジャーシートの席は、言うまでもなく瀬川クンの隣はあーちゃんが確保。
……と、なると。
あたしは自然と楓の隣に座ることになる。
……でも、堂々と座れる?
普通なら何気に座れるんだろうけど、根性なしのあたしは言うまでもなく座れない。
そんな自分が時々嫌になる。