幼なじみは俺様王子。
すると楓は、信じられないくらい甘い言葉をあたしに囁いた。
「俺の全部を知ってるのは、お前だけでいい」
楓……
「他の女達にチヤホヤされるよりも、穂香だけに愛されてればいい……そう思ったからだ」
そんなこと思っていてくれたの?
胸が甘く疼いた。
まるで夢の中にいるようで……。
「浴衣、可愛すぎて、他の男に見られんの嫌なんだよ」
楓の頬は、ほのかに赤くなっていた。
そんな楓を愛おしく思う。
「楓……」
あたしが名前を呼ぶと同時に楓はあたしを抱き寄せた。
「穂香、好きだ……」
掠れた声で呟く楓。
――まるで、あたしに魔法をかけるかのように。
「あたしも、好きだよ」
そんな甘い口調で言われて、無意識に口が動いていた。
恥ずかしさなんて忘れて。
楓の抱き締める力が強くなる。
楓の腕の中は、なぜかすごく安心して。
それからしばらくの間、あたしは楓の香りに包まれていた。