幼なじみは俺様王子。
体が離れた後、あたし達の間にしばらく沈黙が続いた。
でも不思議と、その沈黙は嫌じゃなくて。
とっても心地よい沈黙だった。
しばらくすると、楓が口を開いた。
「やるか? 線香花火」
楓は線香花火を一本取り出して、ライターで火をつける。
――パチパチッ
線香花火は朱色の花模様をつくっていく。
「キレイ……」
自然と口から出た言葉。
「……だな」
だけど、それは楓も同じだったみたい。
あたし達は光り落ちる線香花火を静かに見つめていた。
線香花火って、恋みたい。
パチパチと華やいだり、静かになったり。
笑ったり、泣いたり。
そんな波がある。
でも、最後にはシュワッと音を立てて消えてしまうんだ。
恋も、そうやっていつかは消えちゃうのかな?
そう思うと、とても切なくなった。
音を立てて消えてゆく線香花火を見つめながら、あたしは楓との恋が消えないことを願った。
どうか、線香花火みたく消えてしまいませんように……。
この恋が、ずっとずっと続きますように……