幼なじみは俺様王子。




――昼休み。


あたしは理科室に向かっていた。


誰もいない廊下は静まり返っていて、あたしだけの足音が響く。


楓は、もう来てるかな?


そんなことを考えながらあたしは理科室へと急いだ。


「川島穂香さん?」


すると突然、背後から誰かに声をかけられた。


驚いて、ビクッと肩を上げる。


誰もいなかったはずなのに、どうして……?


不思議に思いながらも、あたしは後ろを振り返った。


すると、そこには……


真っ白な肌にくりっとした瞳。

ぷるんとした唇。


華奢な体によく似合う、ハチミツ色の長い髪。

まるで“お姫様”のような女の子があたしの前に立っていた。


こんな女の子、うちの学校にいたっけ……?


「あたし、2年C組の桜田愛(さくらだ あい)と言います」


あたしが聞く前に、名前を名乗った女の子。


桜田、愛。

聞いたことない名前だけど……


あたしは、次の愛チャンの言葉を聞いてひどく驚くことなる。


「ところで、川島さんって楓クンと付き合ってるんですかぁ?」


「な、なんですって!?」


な、ななな何であたしと楓のこと知ってるの!?


すると、愛チャンは意味ありげに笑ってあたしの耳元で囁いた。





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