幼なじみは俺様王子。
◆気になるあの子
「……というかんじなの」
翌日、あーちゃんに昨日の出来事を全て話した。
理科室でのこと。
楓の印のこと。
そして何より……
“あの子”のことも。
すると、あーちゃんは眉を寄せて、あたしの顔を覗き込んだ。
「その桜田愛って子、なんか匂うわね」
「に、匂う?」
「絶対なんかあるわ」とあーちゃんは呟き、考えこんでいる。
あたしは特に何も感じなかったけど……。
ああいうことは、楓と付き合ってる限り、日常茶飯事なんじゃないかなぁ……。
「穂香と王子の仲を知っていたのよね?」
確かに愛チャンは、付き合ってるのかとあたしに尋ねた。
あたしはコクンと頷く。
「だとしたら、それしか考えられないわ」
「それしかって?」
すると、あーちゃんは真剣な表情を浮かべてあたしに言った。
「つまり、穂香と王子の仲を壊そうとしてるのよ」
あたしと楓の仲を壊す。
……それってどうゆうこと?
「その女、アンタか王子に酷い恨みを持ってるとしか思えないわ」
あーちゃんの予想はいつも当たる。
だから怖いんだ。
もし、あーちゃんの言ってることが本当ならば。
あたしはこの先、地獄を見ることになるかもしれない。