幼なじみは俺様王子。
ここであーちゃんが出て行ってくれても
きっと、あたしは弱虫な負け犬扱い。
自分が楓の彼女だと自信を持って言えないただの弱虫。
……でもきっと、誰も楓の彼女があたしだなんて信じてくれない。
“釣り合わない”
と嘲笑われるだろう。
だけど、自分でふたりの間に飛び込む勇気もなくて。
あたしはただ呆然と見ていることしか出来ない負け犬なんだって、思い知らされた。
「ねぇ、あれ見て!」
沈黙を破ったのはあーちゃん。
あーちゃんは廊下の方を指差しながら睨んでいる。
あたしも、あーちゃんの指先を辿った。
すると……
楓の肩越しに見える愛チャンが、こちらを見ていた。
まるであたしに“ざまあみろ”と言わんばかりの勝ち誇った表情で、あたしを見つめていた。