幼なじみは俺様王子。
「やっぱり、それが目的だったのね」
悪魔のような笑みを浮かべる愛チャンを睨みながら、あーちゃんは言った。
楓……
どうして……
どうして愛チャンを抱き締めているの?
楓と愛チャンはどういう関係なの?
「穂香……」
悲しい、悔しい気持ちが募って。
あたしの目からは自然と涙が流れていた。
「……あーちゃん、ごめ…んっ」
「ちょっと穂香っ!」
あたしは走って教室を飛び出した。
早くこの場から消えたかった。
楓と愛チャンが抱き合っている姿なんて、これ以上見たくなかった。
重い気持ちを引きずってあたしは屋上へたどり着いた。
――ギィッ
重い扉を開けると、そこにはあたしの気持ちとは正反対の雲一つない晴天が広がっていた。
「う……っ…」
ずっとこらえていた涙が今となって溢れ出る。
愛チャンと話す楓の笑顔が脳裏に焼き付いて離れない。
忘れようとしても、忘れられなくて……。
楓……
「うっ……っ…う」
流れ出した涙は止まることを知らなくて
余計に悲しくなった。