ココロ
そんな父子に私は一人ため息を零し、そして食事を続けた。
(今更血を見た所で気にしないのに…)
まあ、喧嘩と聞いて良い気がしないのは確かだけど。
それでも今のことだって裕也がケガした訳では無いと解りホッとしている自分がいた。
なんだかんだ言って私はちゃんとあのヤンキー君を弟として心配していたらしい。
そんなことをボンヤリ考えている内に再びリビングの扉が開いた。
お父さんが戻ってきたのかと思い顔を上げると、そこにいたのは寝間着姿で未だ眠たげな表情の母だった。
「おはようココちゃん」
「おはよう…今日起きるの早くない?」
「裕ちゃんの声がしたんだけど…気のせいだったかしら?」
トロン、とした眼で辺りをキョロキョロと我が母。
まだ寝ぼけてるらしいその様子に思わず苦笑い。
「帰ってるよ。今お父さんとお風呂場にいると思う」
「あらそうなの?一緒にお風呂でも入るのかしら。仲良しさんね、ウフフ」
「(もはや私は何も突っ込むまい)」
これが冗談ならまだしもこの人は本気で言っているのだから恐ろしい。
だがこんなポヤポヤした人でも一歩家を出ればバリバリのキャリアウーマンだったりするのだから世の中解らないものだ。