ココロ
***




「ホントにホントに大丈夫?」
「大丈夫だよ。ほら、お迎えの人待ってるから」
「……うん。」



なにごともなく1日が過ぎた。
しかしやはり事件のせいか、ずっと先生達はバタバタと忙しそうで。

おまけに恐らくこちらも事件の影響だろう、下校時間になると学校の周りや駐車場にお迎えの車が溢れ、急遽先生達が交通整理へと借り出されなければならなくなっていた。
私はそんな騒がしい校門の所でまどかちゃんと別れ、1人でいつものバス停へと向かったのだった。







…怖くないと言ったら嘘になる。
しかしどちらかと言えば、やはり何だかんだ聞かされてもそれがテレビの向こうで起きている事件のような感覚しか持てなかったのも事実で。
あまり現実味が湧かなかった私にはあまり危機感というのが感じられなかったのだ。

それに、そんな傷害事件を起こしてしまった生徒が呑気に事件現場の近くをウロつくとは思えないし。








「(…そういえば)」

私はそこであることに気付いて立ち止まる。
クラスの皆に聞いた話だと、事件現場はこの道を曲がった先の……



「!!」

なんとなく視線を向けた、その曲がり角の先。
その瞬間私は思わず凍り付いた。





真っ黒の学ラン。
そしてズタボロでペシャンコのカバンを肩に担いだ、黄色にも近い金色の髪をした男が、いた。
ちょうど向こうからこちらの方へと向いて歩いてきたその男と私は完全に目が合ってしまい。

私は驚きと恐怖のあまり立ちすくむ。
この辺りであんな格好をした生徒は…黒鷹以外にいないのだ。


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