ココロ

義弟

 
実は私の母と今の父親は再婚夫婦。
つまりこの裕也と私は血の繋がりが無い、ようは義理の姉弟という奴だ。



裕也と初めて会ったのは小学生の頃。

あの頃の私はまだ一人っ子だったこともあり弟が出来たのが嬉しくて、すごく裕也を可愛がっていた。
裕也もちょっぴりヤンチャだったが素直で元気が良くて本当に可愛かった。


…あの頃は、だ。
何度でも言わせてもらおう。あの頃は、の話である。





「おかえり姉ちゃん。俺ちょっと今から出かけて来るから夜ごはんいらねーって母さんに言っといてよ」
「…また喧嘩?」
「違う違う、ちょっとシめてくるだけ」
「(シめるって何…)」



……裕也は、ヤンチャになり過ぎていた。

その性格は確実にお父さん譲りだと思う。
お父さんは私に凄く気を使ってくれてとても優しいお父さんだった。
だから私も今では何の戸惑いもなく血の繋がりが無い父を『お父さん』と呼ぶことが出来た。


しかし、そのお父さんも実はなかなかの変わりモノで。

若い頃は高校制覇とか市内制覇だとか訳の解らないことをやっていたらしく。
つまり簡単に言えばヤンキーだ。
不良なのだ。

そしてそんな父親の遺伝子を見事に受け継いだ裕也も中学生ながらに立派なヤンキーへと成長していった。






「もーすぐ南が迎えに来っからさ、ウルサくなるから姉ちゃんは家入ってろよ」
「言われなくてもそうするわよ」



私はフイッと裕也から視線を逸らし、さっさと家に入る。


ウルサくする自覚があるなら自重しなさいっての!




    



    
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