ココロ
日常
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あれから、結局裕也の顔を見ることはなく1日が過ぎ。
翌朝…欠伸をしながらリビングに降りて行くとそこにはいつも通り、父がいた。
「お父さんおはよう」
「おはよう心ちゃん」
キッチンに立つ父は爽やかに笑った。
柔らかい栗色をしたサラサラの髪を持ち、鼻筋のスッと通ったサッパリした顔立ち。
かと思えば形の良い眉に、切れ長の眼。
そうして穏やかに笑うお父さんはまるでテレビに出てる俳優さんバリのカッコ良さ。
…それでいて昔はかなりヤンチャをしていたというのだから侮れない。
「ご飯出来てるから、先に食べておいで。今裕也が風呂に入ってるからね」
「…裕也帰ってきたんだ」
「ああ、ついさっき」
…中学生の分際で朝帰りとは。
私ですらしたことないのに!
若干の敗北感を覚えながらも私は席に着く。
今日のメニューはホットケーキだった。
「今日も美味しそうだね」
「よしよし、いつも早起きな心ちゃんには特別に1番綺麗に焼けたものをあげようね」
「はは!ありがとうお父さん」
父は、料理が上手い。
よって基本的に朝が弱いお母さんの代わりにいつも朝食の準備は父の仕事だった。
「いただきまー…」
「なあ父さん制服に血ぃ付いちゃってんだけどこれどうしたら……あ、」
「あ。」
…ガチャ、とリビングの扉が開く。
そこに立っていたのは、もちろん裕也だった。