君の詩が色褪せても
弥生は何かを思い出したようにボーっとして、気のない返事をする。




「弥生さん?」


日和が声をかける。



「あっ…ゴメン、ハンバーグだよね」


変に動揺する弥生を愛里子も気にして見ていた。








結局昼食を取るだけで、何の話題もなく4人は店を出た。



「弥生さん、仕事の話はまた今度」


そう言って律壱は最初に立ち去った。



「…なんだよアイツ」


「律壱くん、今日は朝から変だよね」




「仕事の話、ちゃんとオレにも連絡して」

日和が弥生に求める。



「うん…」







頷いた弥生の目の前に手が伸びてくる。



日和の手…。




その手は弥生のメガネをクイっと外した。



「……!」


一瞬のことにドキッと動揺する弥生。





「カルボナーラのソースついてる」

日和は平然としてメガネの汚れを拭き取っていた。





「なんか、弥生さん違う人みたい」


そう言ったのは愛里子だった。


「?」

日和もメガネを手にしたまま弥生の顔を見る。



「なっ…なに…」


弥生は頬を赤らめる。





「あんた……童顔だな」
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