君の詩が色褪せても
「もう帰るの?」
律壱もイスから降りた。
「解決したから」
「解決って…」
それでいいのか?―
「お前…、今の会話なら電話で済む話じゃんか」
苦笑いから呆れ顔になる律壱。
「律壱の顔見たかったんだよ。それに、この部屋落ち着くし、チャリ走らせんのも気持ちいいからさ」
「…そっ…そか」
律壱は赤くなりつつある顔を背けて言った。
「じゃ、なるべく早く仕上げるから」
玄関に向かっていた日和が振り向いて笑う。
律壱は
胸が痛くなった。
「おっ…おう。まだ時間あるし、焦るなよ」
「サーンキュ」
そう言い残して、日和は部屋を後にした。
律壱は日和が投げ捨てたクッションを拾うと、それをギュッと抱き締めた。
微かに残る日和の香り。
「アイツ…全然分かってねぇ…」
仰向きため息をつく律壱だった。
まぁ、分かられても困るけど―
律壱が悩みを受け渡された頃、当の日和は爽快にチャリを走らせていた。
運命…
「ランニングでもするかな!」
日和はチャリを器用に操り方向転換する。