君の詩が色褪せても

「メガネ、どうしたんですか?」

弥生の挙動不審な動きを見て、わざとらしく尋ねるアシスタント。




「…わっ…忘れたの」


「そうじゃなくて、なんで外したんですか?」

アシスタントはニヤニヤとしながら弥生の肩を揉む。



「……スパゲッティのソースで汚れたから外しただけだよ…」


「ふーん」


「言っとくけど、別に律壱くんとは何もやましいことしてないからね!」


これだけは
ハッキリ言わなきゃ―








律壱くんとは
食事しただけ…―





ただ…




彼が来るとは思わなかった…―






ドキドキさせられた…―



変だよ私―



「ごめん、みんな仕事続けてて。私…ちょっと仮眠するね」


弥生は奥の部屋へ消えていった。



















『律壱、好きだよ…』




誰…?





『律壱の曲も歌も、唯一無二で最高!』





アイツ……?





『REACHのサウンドが世間に認められるといいね』




…………





『君は才能があるのに、何故こんなマニアックな音楽ばかり作るんだ』




誰……?




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