君の詩が色褪せても
弥生はワンピースのリボンをクルクル指に巻き付けながら話す。
「服着るのに、勇気がいるの?」
「律壱、弥生さんにだって色々事情があるんだよ」
「事情?」
「お洋服にも魂ってあると思うんだ。…でも、今の私じゃ受け入れてもらえない気がするの」
「……?」
「もっと、この服を着るのに相応しい人がいるような気がして…」
弥生は愛里子の部屋のふすまをじっと見た。
スーッ―
ふすまがゆっくり開く。
悩み顔の愛里子が一歩前に出た。
「愛里子ちゃん、もういいの?」
弥生が優しく声をかける。
愛里子は弥生の目を見て淋しそうに頷いた。
「弥生さんだけに話すならオレたち居なくなるけど」
日和が気をきかせる。
「いいの…。みんなに聞いてほしいから」
人形のように可愛らしい姿なのに、どことなく大人を感じさせる愛里子。
「じゃあ、話して」
持っていたワンピースを置いた弥生。
「愛里子……、日和が好きなの」
一同、目が丸くなった。