君の詩が色褪せても
「日和とはそんなとき出会ったんだ」
弥生は息を飲む。
「あいつはオレと同じ顔してた…アイドル扱いに疲れてて行き場を失った顔」
弥生は目を閉じて律壱の話を聞いていた。
目に浮かぶ日和の顔。
切ない顔。
困惑した顔。
「その時、こいつとならやっていけるんじゃないかって思った」
「…日和くんも律壱くんに出会って安心しただろうね」
「それはどうかな?」
「きっと安心したはずだよ。2人の最初の曲、日和くんの詞が暖かかったもん」
「過去に傷を持った2人が傷を舐め合って生まれた曲だけどね」
立ち上がる律壱。
「そんな中で律壱くんは恋したんだね」
「女性不振になってたからかもだけどな」
「…どんな状況でも、人を愛せるって素敵だよ」
少しうつむく弥生。
「弥生さんは?…日和のこと好きじゃないの?」
数分前の愛里子の台詞を思い出す弥生。
愛里子の声が表情が頭の中を駆け巡る。
「どうなんだろう?」
「……?」
「私、解らないんだ…」
「オレや愛里子ちゃんに遠慮することないんだぜ」