君の詩が色褪せても




どこへ帰ればいいの?―

















日和は愛里子の心の叫びを目にして、頭を抱えた。



どんな気持ちで愛里子がそれを書いたか、手に取るように分かってしまったから。





手帳に涙が零れる。





やがてそれがにじんで文字を歪ませる。




明日、…
どんな顔で愛里子に会えばいい…―



日和は今までに持ったことのない複雑な感情に縛られていた。














自宅のベッドの上で、律壱は薄いカーテンに反射する街の光を眺めていた。




そんな彼の腕の中には、弥生の姿が。









数時間前。

律壱はマンションまでを弥生の車で送ってもらっていた。



駐車場に車を停めると、弥生が呟いた。




「愛里子ちゃんが羨ましい…」


ハンドルを強く握って俯いたまま肩を震わせる弥生。


「あんなに素直に…自分の気持ち伝えられるなんて…」


「弥生さん…」


「周りの目が気になって好きな服も着れない私とは大違いだよ」



「…それは、オレも同じだよ、日和に何も伝えられない…」



弥生の膝に涙がポタポタっと落ちる。






「…愛里子ちゃんみたいになりたい…」

< 146 / 219 >

この作品をシェア

pagetop