君の詩が色褪せても
どこへ帰ればいいの?―
日和は愛里子の心の叫びを目にして、頭を抱えた。
どんな気持ちで愛里子がそれを書いたか、手に取るように分かってしまったから。
手帳に涙が零れる。
やがてそれがにじんで文字を歪ませる。
明日、…
どんな顔で愛里子に会えばいい…―
日和は今までに持ったことのない複雑な感情に縛られていた。
自宅のベッドの上で、律壱は薄いカーテンに反射する街の光を眺めていた。
そんな彼の腕の中には、弥生の姿が。
数時間前。
律壱はマンションまでを弥生の車で送ってもらっていた。
駐車場に車を停めると、弥生が呟いた。
「愛里子ちゃんが羨ましい…」
ハンドルを強く握って俯いたまま肩を震わせる弥生。
「あんなに素直に…自分の気持ち伝えられるなんて…」
「弥生さん…」
「周りの目が気になって好きな服も着れない私とは大違いだよ」
「…それは、オレも同じだよ、日和に何も伝えられない…」
弥生の膝に涙がポタポタっと落ちる。
「…愛里子ちゃんみたいになりたい…」