君の詩が色褪せても
愛里子ちゃんに…
なりたい…―
律壱は弥生の腕を強く引き寄せた。
唇で弥生の涙を拭う律壱。
「り…いち…くっ……」
這うように、律壱の唇が弥生の唇を探す。
2人の唇が重なった瞬間、律壱は弥生を抱きしめた。
闇の中に浮かぶ白い肌。
律壱は彼女の顔に触れ、涙の足跡を消していく。
夢に落ちていた弥生は小さな息遣いしていた。
律壱の顔に後悔が浮かぶ。
それぞれの夜…。
無音の、切ない夜だった。
これって…
花言葉だったんだ…
何の花か調べてみたの…
そう、ギリシャ神話の!…
植杉日和…
どんな人だろう?…
どんな人だと思いますか?…
プルルル…
プルルル…
電話が鳴る。
時計の針は6時半を指していた。
「…雨か」
律壱はボーっとしたまま、リビングの電話を取った。
「もしもし…」
「「律壱!」」
電話の主は日和だった。