君の詩が色褪せても
切羽詰まったような日和の声。
「…どうかした?」
「「愛里子が居なくなった」」
「へっ……?」
「「起きたら、愛里子が部屋に居なくなってた!」」
焦り、慌てる日和の声が受話器から漏れる。
「家の中、調べたのか?」
「「靴が無くなってるんだ!」」
「…分かった。今からそっち行くよ」
律壱は電話を切るとベッドルームに戻る。
「あっ…」
目の合う2人。
「起きてたんだ…?」
毛布に包まりながら、ベッドの上に座る弥生はコクリと頷いて自分の携帯電話を握り締める。
「日和くんから…メールが来てる」
「愛里子ちゃんが居なくなったって?」
「…うん」
「今の電話、その内容だった。これから日和のとこ行くよ」
「わっ…私も行く」
「平気?」
「愛里子ちゃん、心配だから…」
弥生の声は震えていた。
「…ごめんね弥生さん」
律壱と弥生はそれぞれの車で日和のマンションを目指した。