君の詩が色褪せても
日和はマンションの至るところを探して歩く。
しとしと降る雨が、気分を更に落ち込ませていた。
「愛里子…」
「日和?」
「善さん!」
善さんは駐輪場の隣にあるゴミ置き場を掃除している最中だった。
「収集車なら今、出てったぞ。一足遅かったな」
「愛里子見なかった?」
日和に善さんの言葉は聞こえていなかった。
「愛里子って…あのフリフリの?」
「そう!フリフリの!」
「今日は見とらんな」
「そっか…」
しゃがみ込む日和。
「どうした?」
「……何でもない…」
「昨日なら、話したぞ。なんだか元気がない感じだったな」
「昨日、愛里子と会ったの?」
「ああ、草木の手入れをしてるときにな」
花…―
「善さん、愛里子に何か教えた?」
再び立ち上がる日和。
「ん………?」
「ってか…愛里子と何の話したの?」
「前世の話じゃよ」
善さんは昨日の話を詳しく日和に伝えた。
「前世は…花だったかもしれない…か…」
「おう、あの嬢ちゃんそんな雰囲気あるしな」