君の詩が色褪せても
でも…
花じゃないんだ…―
愛里子はここにそう書いてる…―
壁に寄り掛かり、手帳を見つめる日和。
その時、ポケットに入れていた携帯が着信メロディを流す。
「もしもし?」
日和は名前も見ずに通話ボタンを押した。
「「あっ、日和? 今、お前んちの前にいるんだけど…」」
「律壱、悪い…マンションの中探してたんだ。すぐ戻るよ」
プッ―
「どこにいたの?」
弥生が律壱に尋ねる。
「マンションの中を探してたんだって」
「そう…」
「…あんな風に動揺してる日和、初めてだよ」
「日和くん…、愛里子ちゃんが好きなんだね…」
黙り込む2人。
そうこうしている間に玄関目の前のエレベーターが開いた。
ハッとする日和。
「早いな…」
「弥生さんも来てくれてたんだ?」
「うん…」
顔を隠す弥生。
「駐車場で偶然会ったんだ」
律壱はすかさずフォローに入った。
「ごめん、心配かけて」
そう言いながら日和は部屋の鍵を開けた。