君の詩が色褪せても
「服や雑貨、ドール、本、香水に化粧品、紅茶、自分の足で外国の文化に触れ、気に入ったものを買って、この店に並べたわ」
「素敵ですね」
女性は窓に手をかざした。
「お客様が、この窓から店内を覗いて下さった。キラキラした眼差しで、ただそれだけで嬉しかったわ」
窓から…―
窓から…覗く?…―
「沢山のお客様と出会って…幸せだった」
そう…―
窓から…
窓から見つけたの…―
あの日―
あの詩を……―
女性が振り返り、弥生の顔を見る。
「どうかした?」
弥生の目は遠い過去をみていた。
眉をしかめ、唇を震わせる。
「私……」
「ん?」
「私、…このお店に昔来たことがあります…」
弥生は何も置いてない木の台に両手を置く。
「…確か…ここにあったはず…」
「何があったか、分かります?」
女性は弥生に興味を示す。
「詩集が…」
緊張している弥生とは裏腹に、穏やかに微笑む女性。