君の詩が色褪せても


「服や雑貨、ドール、本、香水に化粧品、紅茶、自分の足で外国の文化に触れ、気に入ったものを買って、この店に並べたわ」



「素敵ですね」



女性は窓に手をかざした。


「お客様が、この窓から店内を覗いて下さった。キラキラした眼差しで、ただそれだけで嬉しかったわ」














窓から…―




窓から…覗く?…―




「沢山のお客様と出会って…幸せだった」












そう…―







窓から…

窓から見つけたの…―










あの日―







あの詩を……―













女性が振り返り、弥生の顔を見る。




「どうかした?」




弥生の目は遠い過去をみていた。


眉をしかめ、唇を震わせる。











「私……」



「ん?」






「私、…このお店に昔来たことがあります…」



弥生は何も置いてない木の台に両手を置く。





「…確か…ここにあったはず…」




「何があったか、分かります?」

女性は弥生に興味を示す。










「詩集が…」




緊張している弥生とは裏腹に、穏やかに微笑む女性。
< 157 / 219 >

この作品をシェア

pagetop