君の詩が色褪せても
キラキラと輝く海。
「日和の知ってる本当の愛里子を教えて?」
一定の距離を保って愛里子は足を止める。
「なんで…?」
「答えあわせだよ」
真実の答えあわせ。
「…オレの知ってる本当の愛里子は……」
「愛里子は?」
「弥生さんの初投降した作品に登場する主人公の妖精…」
蘇った思い出の光景が日和を素直に喋らせていた。
「ありがとう日和。ちゃんと思い出してくれて」
愛里子は少し目に涙を浮かべていた。
「愛里子はね、ギリシャ神話のイリスをモデルに描かれた妖精なの」
日和は弥生との会話を思い出していた。
「弥生さんが私を生んでくれた…。だから私は弥生さんがお母さんみたいって言ったんだね」
「そう…だな…」
「そして愛里子は…弥生さんの恋の妖精なの…」
青空を仰ぎ見る愛里子。
「弥生さんの恋の妖精?」
頭に疑問符を浮かべ、繰り返す日和。
「愛里子の中には、弥生さんの一生分の恋が存在するの」
そうだ…
確かに彼女は言っていたー