君の詩が色褪せても
偶然じゃない…ー
これは運命…ー
運命なの?………ー
「…お前はオレの知ってる愛里子なんだろ?」
しばし黙り込んでいた日和が重い口を開ける。
「うん……」
そう…
それは事実…ー
「だけど…っ」
「お前、どこに行ってたんだよ!」
愛里子の言葉を断ち切るように日和は怒鳴り付けた。
「みんな…みんな心配したんだぞ!急に居なくなって、記憶取り戻したとか、弥生さんの恋心だとか、何難しいこと言ってんだよ!」
「日和…」
「もう訳分かんねぇよ!オレはお前を心配してたんだぞ!弥生さんじゃなくてお前を!愛里子を!」
日和は湿った芝を思い切り蹴った。
勢いよく水しぶきが飛ぶ。
「日和…」
「妖精だか何だか知らねぇけど、…オレは…お前に運命感じたんだよ……弥生さんじゃなくお前に…愛里子っつー変な女に!」
日和は愛里子の腕を掴んだ。
「日和…」
言葉にならない愛里子。
「オレのこと、…好きだって言ったのお前だろ…」
腕を掴んだまま、日和は動けずにいた。
抱き締める訳でもなく、突き放す訳でもない、そんなもどかしい状態。
惚れかけてた…
こんな短期間の間に…ー
運命なんて…
幻想だと思っていたのに…ー
「これが…運命…か?」
「…?」
「初めて会ったとき、愛里子…言ってたろ」
『運命感じたんだ…』
矛盾してることくらい…
分かってる……ー