君の詩が色褪せても
「日和…運命は………悲しいものだったね…」
愛里子は涙ぐんでいた。
「愛里子?」
「私だって…愛里子だって、こんな記憶取り戻したくなかった」
愛里子は日和の腕を掴み返す。
「記憶が戻る前の日和のことが大好きな自分を弥生さんとは別人の想いだって信じたい…」
言葉は刺がある…
すぐにバカにする…
怒ると怖い…
自分勝手で…
無愛想…
だけど……
本当はすごく優しい…
あったかい…
一緒にいると楽しい…
一緒にいると幸せ…
一緒にいると安心する…
一緒に…
一緒に…
ずっと一緒に居たかった…ー
これは隣にいた愛里子だけの特別な感情だって思っていいよね…ー
「でも…愛里子は弥生さんの所に帰らないと…」
ゆっくり日和の腕を振りほどく愛里子。
「なんでだよ…?」
力の抜けた日和の声。
「愛里子は弥生さんの恋心だから」
繰り返される言葉に苛立ちを感じさせる場の空気。
「他に何か方法ないのか?」
「愛里子が弥生さんの所に帰らなかったら、弥生さんの恋心がなくなっちゃう……」
一生分の恋心。
「戻らないなんて出来ないよ……。弥生さんから恋を奪うなんて残酷すぎるもん」