君の詩が色褪せても
それは日和にだって解っていた。
弥生の大切な想いを日和も大切に思っていたから。
弥生の純粋でひたむきな想いを愛里子というフィルターを通して感じてしまったから。
愛里子=弥生。
この方程式は絶対だ。
朝、律壱を攻めた自分を思い出す日和。
恋心を失った弥生でさえも気になってしまった自分がいたことに気付き、日和は胸が苦しくなった。
「…愛里子は消えるのか?」
「弥生さんの中に…愛里子はいるよ」
「そっか…」
「ねぇ日和…、お願いがあるの」
そっと日和の手を取り微笑む愛里子。
「なに?」
愛里子の手の温もりに癒されて、優しい口調になる日和。
「弥生さんの中に帰る前に、日和との思い出が欲しい」
愛里子という記憶喪失の妖精の存在として…ー
「思い出?」
最後に……ー
「初めて会った日に自転車で通り抜けた道をまた一緒に通りたいの」
気持ち良かった…ー
ドキドキした…ー
すっごく幸せだった…ー