君の詩が色褪せても
「…だ…い…す…き…」
神様…
運命とは何ですか?…ー
「愛里子!」
「………ょい…さん…ごめ…ん…なさぃ……」
「愛里子!?」
日和が愛里子の身体を揺さ振る。
しかし、反応はない。
嘘だろ…ー
「愛里子!愛里子!」
愛里子の身体を抱きしめながら、日和は名前を呼び続けた。
スッーっと日和の腕から重たさが消えていく。
「……」
まるで蒸発するように愛里子は消えた。
日和の手に残ったもの。
白いワンピース。
そして、甘い香りだった。
「…ネクタール……」
日和は呟いた。
ワンピースを抱いたまま、日和はその場から動けなかった。
無表情の目から、自然に涙が流れ落ちる。
しばらくして、通りかかった人々が騒ぎ出した。
「大丈夫ですか?!」
主婦らしき女性が駆け寄る。
「救急車…、あと警察呼びますね」
サラリーマンらしき男性が携帯を取り出した。
日和は指のひとつも動かさなかった。