君の詩が色褪せても
「こんなに沢山…」
驚く弥生のアシスタント。
「映画のイメージが沸くように借りてたんですよ。な、律壱」
「あっ、…ああ」
口裏を合わせる2人。
「そうですか」
「…それで、映画の話なんですけど…」
律壱が勇気を出して問う。
「…はい。誠に申し訳ありませんが、今回の話はなかったことにして頂きたくて…」
「彼女が、そう言ったんですか?」
尋ねる日和。
「はい。今の自分には、お2人と仕事をする資格はないと言っていました」
「そう…ですか」
「でも、ファンでいることに変わりはない、これからも応援してますと言っていました」
ファン…か…ー
「何度も足を運んでもらってありがとうございました」
日和は頭を下げた。
「いえ、こちらこそ失礼ばかりで…」
「そんなことないですよ」
律壱が優しく言う。
「本当に、ご迷惑をおかけしました。もし、また何かの機会がありましたら、よろしくお願い致します」
そう言い残して、弥生のアシスタントは帰っていった。
襖を開ける日和。