君の詩が色褪せても
そこは愛里子の部屋だった和室。
何もなくなった静かな和室。
もともと、こんな感じだった。
でも、何か物足りない。
「日和?」
呼び掛ける律壱。
日和は襖を閉め、ソファーに座った。
「こんな時に言うのもなんだけど…」
「REACH、やるのか?」
日和の言葉に呆気に撮られる律壱。
「何で、分かった?」
「お前の言いそうなことは顔みてりゃ分かるよ」
顔をペタペタと触る律壱。
「どーせ、あれだろ。1からやり直したい的な?」
「ご名答」
「いいんじゃね。オレも同じこと考えてたから」
もう一度、あの詩を…ー
「そっか…、日和もか…」
「あいつと…愛里子と約束したんだ。アイリス、もう一度書き直すって」
日和の目は、どこか遠くを見ていた。
「そっか、愛里子ちゃんとか……」
オレに出来る事…
愛里子のために出来る事はそれだけだから…ー
「いい詩書けるといいな」
「お前も、いい歌聞かせろよ」
「…日和」
「ん?」
「オレさ……お前のこと……」