君の詩が色褪せても


「子供欲しいから結婚するみたいじゃん…」



「お前、自分の娘に妬いてんの?」

クスクス笑う日和。



「だって…愛里子のときだって……」


日和は不意を突いて、弥生のおでこにキスをする。


真っ赤になる弥生。


「…バカか」

「なっ…何が?」



「オレは愛里子よりお前が気になってたよ」


「嘘だ」


「じゃなかったら、3年も女つくらなかったりしねーから」

一度弥生を突き放す日和。


「……」




「弥生、キスしろ」

「へっ?」


「へっ?じゃねー。お前からキスしてみろ」


りんごほっぺになる弥生。

「…どっ…どこに?…」


「したいとこでいーよ」

俺様態度でニヤける日和。

「……」




「早く」





「じゃあ…、目つぶってよ…」





薄ら笑いをしながら、日和はゆっくり瞳を閉じた。



















……




……







………?





……………?ー





「まだかよ?」


辛抱しきれず目を開ける日和。




「…ぁ…あれ?」





そこに弥生の姿はなかった。



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