君の詩が色褪せても
「日和に運命感じたのは…」
「感じたのは?」
「なんか…上手く言えないけど、愛里子の心の声」
心の声…―
愛里子は膝を抱えるようにしゃがみ込んだ。
まるで力尽きたような様子ですすり泣く。
大きな目から零れ落ちる大きな雫が芝生を濡らしていった。
その様子をみて、日和はそっと手を差し出す。
「びより〜…」
涙と鼻水でぐちゃぐちゃの愛里子が顔を上げる。
「ひで…」
日和はその顔を見てクスっと笑った。
彼の手につかまり再び立ち上がる愛里子。
鼻水をズズっとすすって、手で涙を拭う。
「冷たいな」
「えっ?」
「お前の手、冷たい」
そう言って、日和は彼女の手をギュッと握って引き寄せた。
「手が冷たい人は心が暖かいんだよね?」
「…なんで、そんなことだけ覚えてんだよ」
「なんでだろ?」
微笑み合う2人。
「病院行くの嫌なら、警察行くのも嫌?」
日和の問いにうなづく愛里子。
「じゃ、とりあえず…うち来るか?…ここ寒いし」
「いいの?」
「帰るとこ、ないんだろ?」
愛里子は首を縦に振る。
「後ろ、乗って」