君の詩が色褪せても

「日和に運命感じたのは…」


「感じたのは?」




「なんか…上手く言えないけど、愛里子の心の声」



心の声…―



愛里子は膝を抱えるようにしゃがみ込んだ。

まるで力尽きたような様子ですすり泣く。


大きな目から零れ落ちる大きな雫が芝生を濡らしていった。



その様子をみて、日和はそっと手を差し出す。



「びより〜…」

涙と鼻水でぐちゃぐちゃの愛里子が顔を上げる。



「ひで…」

日和はその顔を見てクスっと笑った。


彼の手につかまり再び立ち上がる愛里子。

鼻水をズズっとすすって、手で涙を拭う。


「冷たいな」

「えっ?」

「お前の手、冷たい」

そう言って、日和は彼女の手をギュッと握って引き寄せた。


「手が冷たい人は心が暖かいんだよね?」


「…なんで、そんなことだけ覚えてんだよ」


「なんでだろ?」


微笑み合う2人。


「病院行くの嫌なら、警察行くのも嫌?」

日和の問いにうなづく愛里子。



「じゃ、とりあえず…うち来るか?…ここ寒いし」


「いいの?」


「帰るとこ、ないんだろ?」


愛里子は首を縦に振る。


「後ろ、乗って」
< 23 / 219 >

この作品をシェア

pagetop