君の詩が色褪せても
愛里子はつまらなそうに足をバタバタさせた。


「暇ならシャワーでも浴びれば」

さり気なく言う日和。


「別に暇じゃないよ」

愛里子は口を尖らせている。


「でも、その服洗濯した方がいいだろ?」


「ダメだよ。着替えないもん」


「オレのなら貸すけど」


「ダメ。羽根が出る穴の開いた服じゃないと」



「……」

固まる日和。


「日和は愛里子が妖精だってこと、まだ信じてないんだね」

愛里子はどんどんご機嫌斜めになる。


普通、信じないだろ…―



「ほら、信じてないって顔してる」

日和の顔を指差す愛里子。


「なんか証明するものがあるなら信じるけど」


「だから、それを思い出せないんだもん。せめて何の妖精だったか思い出せればいいのに…」

愛里子は頭を抱える。



「お前、絶対頭強く打って記憶なくしたんだよ」

悩む愛里子の頭を撫でる日和。


「何で分かるの?」


「バカみたいなこと言うから」

日和は悪人面でクスクス笑った。



「ひどーい!!」

「大声出すな。律壱の家みたいに防音じゃないんだから」


「りーち?」

「り・い・ち。俺の友達」
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